アストゥリアス地方はスペインの北西部にある、切り立った断崖の連なる海岸部と“ヨーロッパの峰々”と呼ばれる、高いところでは標高2、648mに達する山岳地帯に挟まれた地域です。降水量が多く、雪解け水も豊富な為、緑のスペインとも呼ばれるとても美しい地方です。険しい地形の為に古くから何処の支配からも逃れ、8世紀の初頭にイスラム勢力がイベリア半島を征服した時もこの土地だけが征服されず、キリスト教最後の牙城となりました。この地方が後のレオン王国となり、カスティージャ王国、そしてスペイン王国へと成長していったのです。だから今でもスペインの王位継承者の称号にはこの土地の名前が使われます。
小さな、でも生粋のスペインを感じさせる土地、アストゥリアス地方。ファバーダと並んで有名なのがカブラレスと呼ばれるチーズです。この地方には100種類位のチーズがあるそうですが、アストゥリアスと言えばカブラレスチーズ、スペインで一番有名なチーズではないでしょうか。
カブラレスチーズはブルーチーズの仲間。世界三大ブルーチーズと呼ばれるのがフランス産のロックフォール、イタリアのゴルゴンゾーラそしてイギリスのスティルトン。どれも美味しいブルーチーズですが我らがカブラレスも負けず劣らず素晴らしい味です。ロックフォールは羊の乳、ゴルゴンゾーラとスティルトンは牛の乳を使いますが、カブラレスは牛と羊とヤギ、三種類の乳をミックスさせて作ります。ヤギの乳が入っているせいか他のチーズと比べて独特の臭みがあり、酸味もきつく、どのチーズよりも辛口です。
アストゥリアス地方は山の多い土地柄、自然に出来た洞窟が沢山あります。この自然の洞窟でカブラレスチーズは2ヶ月から4ヶ月間過ごします。洞窟は室温が8度から12度、そして90%の湿度がなくてはいけません。この条件でしかカブラレスチーズ独特の青カビが発生しないからです。昔は湿らせたカエデの葉っぱでチーズをつつんで発酵させ、それがカブラレスチーズのシンボルとなっていたのですが現在は衛生上禁止されているそうです。 |