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パエリアにガスパッチョ、生ハム、コシード、子豚の丸焼き・・・。
気取らない普段着のスペインから、ちょっとおしゃれなスペインまで。
マドリッド在住二人の日本人女性が贈る、スペイン 食の魅力。
   
 
 
 
バカンスシーズンとなりました。海の無い街に住むマドリッドの住民は、海を求めて民族大移動です。マドリッドの人達が一番好んで訪れるのが地中海沿いのバレンシア地方です。今回訪れたのはバレンシア地方南部に位置するアリカンテの街。年間を通じて温暖な気候に恵まれた青い海と白い砂浜が続くリゾート地です。
そんなアリカンテの街で毎年開催される中世市場を訪れました。中世市場とは中世が色濃く残る旧市街の一角に、中世風に飾られた出店が立ち並び、中世の洋服を着た売り子さん達が、中世をイメージした商品を売る市場の事です。
旧市街の細い道々には中世をモチーフにした旗が飾られ、中世の音楽を奏でる楽団や、フクロウや鷹を操る人達が中世の衣裳を着て突然現れたりして、何だか本当に中世の時代にタイムトリップしてしまったかのような気分になります。
   
 

ワクワクしながら街を散策します。旧市街の狭い路地にアクセサリー、雑貨、石鹸、洋服、色々なジャンルの出店が所狭しと並んでいます。中でも人気なのが素朴で美味しい、昔からの味を楽しませてくれる食べ物の出店です。

   
 

街中に炭火で焼かれたソーセージや骨付き肉の、原始的で力強い、胃袋から手が出ちゃいそうな匂いが漂います。先程から充分に鼻からの刺激を受けていて、追い討ちで油が滴り炭火に落ちる、ジューっっなんて音を聞いちゃったので、夕食はもうこれ以外考えられません。でも罠にかかったのは私だけでは無かったようでお店の前には長い長い列が出来ていました。

   
 

そんな長い列に並んでいる間にフと隣の出店を覗いたら、子豚ちゃんが串に刺されて焼かれていました。余りにもグロテスクで可哀想で食欲が・・・、なんて思いきや一瞬の判断で隣の列に移動してしまいました。実際に焼かれている子豚ちゃんを見ると良心がとても咎めてしまうのですが、子豚の丸焼きが大好物なのです。お母さんの乳しか飲んでいなかった子豚の肉はとても柔らかくジューシーで、ほんのりミルクの匂いがします。本当に美味しいのです。丸焼きにされている子豚ちゃん達を極力見ないようにして、美味しいお肉を堪能しました。粗塩だけの素朴な味付けなので、お肉の旨みが更に際立っていました。

   
 

メイン料理を食べ終えたので、デザート探索に入ります。ドライフルーツ屋さんではバナナ、ココナッツ、イチジク、オレンジ、レモンなどの定番フルーツの他にスペインでは採れないトロピカルフルーツのドライフルーツも売っていました。昔ながらのレシピで作られた素朴な味の焼き菓子のお店もありました。全て計り売りで販売されます。

   
 

今でも祭りとなると良く売られているのがこの枝です。ヨーロッパでは古くから親しまれているレガリスと呼ばれるマメ科の多年草の根です。独特の甘さと香りがあり、スペイン人は子供も大人もこの枝をしゃぶるのが大好きです。10cm位にカットされて売られるのですが、この枝をしゃぶりながら歩いてるスペイン人達を初めて見た時はビックリしたものです。

   
 

レガリスは美味しいだけでは無く口の臭いを消す働きもあるので、ガムや飴、特にグミなどに良く使われています。
砂糖の50倍の甘さがあり、低カロリーでもあるので欧米では健康的な食品添加物としてお菓子のみに限らず、多くの食品に使われています。ギネスビールやお醤油にも使われているのだそうです。
更には緩和、消炎作用があり、美白の効果まであるので、食品だけでは無く、医薬品や化粧品にも使われている万能な枝なのです。

   
 

こちらは古くから愛されているお菓子、イチジクのパン(パン デ イゴ)です。特にクリスマスの時期に、甘いワインと一緒に食べます。このお菓子、ただでさえ甘いのに更に甘いワインと合わせて食べるので初めはとても抵抗がありました。でも慣れてくると他の組み合わせは考えられません。

パンと名付けられていますが、小麦粉は一切使われていないのでパンとは少し趣が異なります。とてもシンプルなお菓子で、乾燥イチジク、アーモンド、砂糖を良く混ぜ、シナモン、グローブ、アニスの香辛料を加え型に入れ、オーブンで軽く焼くだけです。栄養価が高く、とても日持ちのするお菓子です。
   
 

ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類に飴を絡めたお菓子、そしてスペインの定番ヒマワリの種です。スペイン人は種類が大好きでカボチャの種なんかも食べます。種は生タイプ、炒ってあるタイプ、塩あり、塩なし、殻あり、殻無し、色々なタイプが選べます。殻無しタイプが楽チンですが、殻を歯で割って食べるのは結構楽しいものです。

   
 

昔ながらの手法で作る手作りチョコレートのお店もありました。濃厚なカカオの味が最高です。

   
 

中には中世には存在しなかったと思われるカラフルな飴やグミも売られていました。

   
 

中世市場はお土産購入にも最適です。細いソーセージ、太いソーセージ、赤いソーセージ、白いソーセージ、辛いソーセージ、胡椒入りソーセージ、ハーブ入りソーセージ、様々なタイプののソーセージが売られています。

   
 

こちらは地中海に浮かぶ島群、マジョルカ地方名産のソブラサダと呼ばれる柔らかいソーセージです。他のソーセージを作った際の余り肉と、たっぷりのラードを混ぜて作ります。赤唐辛子の真っ赤な色が特徴ですが、見かけとは裏腹に余り辛くはありません。中世の洋服を着たお姉さんがパンの上にたっぷり塗って試食させてくれます。

   
 

チーズ屋さんに、パテ屋さん。パテと言えば肉やフォアグラをすり潰した物が主流ですが、カタクチイワシなどの魚や、カニの味噌、ムール貝のパテ等のスペインでは珍しいタイプのパテがありました。試食出来るようにカットされたパンが置かれているのが親切です。

   
 

様々の種類のハーブも売られていました。一つ一つのハーブに効用が書かれています。ストレス、不眠、飲み過ぎ、食べ過ぎ、目の疲れ、喉の痛み、本当に沢山の種類の中で一番減りが多かったのは痩せるハーブでした。

   
 

スペインと言えばオリーブです。黒いオリーブの実は種類が限られていますが、緑のオリーブの実は本当に沢山の種類があります。実の種類も豊富ですが、味付けも様々です。オレガノ、ローズマリー、レモンで漬けたオリーブ、種をくり抜いてアンチョビや赤ピーマン、ピクルスを積めたオリーブ、ニンニクで漬けたオリーブ、色々ありすぎて目移りしてしまいます。

   
 

中世市場は見て、食べるだけじゃなく、中世の時代に帰って遊ぶ事も出来ます。弓で的を射たり、ロバの背中に乗って街を散策したり、木製のメリーゴーランドに乗ったり。ただしメリーゴーランドは手動なので年齢制限があります。結構お年を召したおじいちゃんが一生懸命メリーゴーランドを回していたのが面白かったです。

夏にアリカンテの街を訪れる機会があったら中世市場でタイプトリップを楽しんで下さい。

   
 

取材:市川由実

   
   
 
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