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パエリアにガスパッチョ、生ハム、コシード、子豚の丸焼き・・・。
気取らない普段着のスペインから、ちょっとおしゃれなスペインまで。
マドリッド在住二人の日本人女性が贈る、スペイン 食の魅力。 |
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「スペインで一番新鮮な魚介類を食べたかったら何処に行く?」
こんな質問をされたらスペイン人は決まってこう答えます。
「マドリッドさ、海から500kmの距離に位置していてもね。」
マドリッドにはヨーロッパで一番大きな魚市場があるのです。42,600uの敷地内で年間1億3千キロの魚介類が取引されています。この規模は世界でも二番目に大きなもの。ちなみに世界で一番大きな魚市場は東京の築地市場です。
「良い魚はみなマドリッドに行っちまって地元にはカスしか残らねぇ。」
海沿いの漁村で良く聞かれるフレーズです。
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「スペインで一番美味しい魚料理を食べたかったら何処に行く?」
アンダルシア地方で食べる小魚フライは格別だし、バスク地方なら豊富な鱈料理やウナギの稚魚があります。バレンシアの魚介類満載な米料理やイカ墨パエリアも捨て難い。それぞれの地域にそれぞれの名物があり、この質問に答えるのは大変難しいです。ではこんな質問ならどうでしょう。
「スペインで一番美味しいタコを食べたかったら何処に行く?」
その答えはとても簡単です。誰もが皆声を揃えて言うでしょう。スペイン北部のガリシア地方だと。
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タコはメキシコや地中海沿岸地域を除いたキリスト教、ユダヤ教、イスラム教文化圏では殆ど食べられる事の無い食材です。それどころかデビルフィッシュと呼ばれ忌み嫌われる存在ですらあります。しかしスペインに来て初めてタコを食し、その美味しさに目覚める外国人は沢山います。タコに慣れ親しんだ日本人ですらスペインのタコには驚かされます。素材の美味しさもさることながら、こんな食べ方があったのかと目から鱗が落ちる思いです。 |
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タコを食べにガリシア地方に行く価値は充分あります。食だけに留まらず見所豊富な地域で、特にサンティアゴ・デ・コンポステーラの街はエルサレム、ローマに次ぐ3大巡礼地として有名です。中世をそのまま凍結したかのような街並みに魅了されてしまう事でしょう。 |
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時間の関係でガリシア地方にまで足を延ばす余裕が無い方も安心して下さい。マドリッドでも本格的なガリシア料理が堪能出来ます。海から程遠い場所にありますが、魚介類の新鮮さでは“スペインで一番”のお墨付きですから。 |
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何を食べても美味しい、そんなガリシア料理ですがエースはやはりタコです。ガリシア風タコと呼ばれるプルポ・ア・ラ・ガジェガ(PULPO A LA GALLEGA)です。ガリシア地方ではプルポ・ア・フェイラ( PULPO A FEIRA)と呼ばれます。 |
ガリシア風タコ |
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味付け、材料、至ってシンプルなだけに素材の美味しさが問われる料理です。何よりも大事なのが茹でたタコの柔らかさ。秘訣は調理する前に2日間冷凍する、または生のまま硬い場所に30回程打ち付けてから調理する事なのだそうです。タコの柔軟な体の殆どは筋肉で出来ているので、何れの方法も神経を殺し筋肉を和らげる効果があるからです。 |
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茹で方にもひと工夫あります。タマネギと一緒に茹でる事、そしてタコを驚かせる事。これは茹でる前にタコの頭を持ち沸騰した鍋の湯に足だけつけます。直ぐに湯から取り出し、再び湯に付ける事を3回程繰り返した後冷水にくぐらせ、再び沸騰した湯に投げ入れ茹で上げる事を指します。
出来上がったタコはブツ切りにし木の皿に並べます。上から粗塩、オリーブオイル、甘唐辛子と赤唐辛子をかけて出来上がりです。
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マドリッドの八百屋では余り見かけない野菜、グレロ(GRELO)を使ったガリシア風のスープです。グレロとは赤カブの葉、スズナの事です。ジャガイモ、豚肉のソーセージ、ひよこ豆などと一緒にコトコト煮込んで作ります。その味はオフクロの味そのもので、心も体も温まります。 |
ガリシア風スープ |
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ピミエント・デ・パドロン |
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17世紀の始め頃、フランシスコ会の修道僧がメキシコからガリシア地方の人口1万人程の小さな街、パドロンにハラペーニョを持ち込みました。ハラペーニョとはメキシコを代表する青唐辛子の事で、とっても辛いのが特徴です。ハラペーニョはガリシア地方の風土に馴染むよう、そして辛い物が苦手なスペイン人でも大丈夫なよう改良され、パドロン地方の青ピーマンと呼ばれるようになりました。しかし元がハラペーニョなだけに10%の確率でメチャクチャ辛いピーマンに当たります。辛いのも辛くないのも見かけは全く同じなので食べてみるまで分かりません。低温のオリーブオイルで揚げ、粗塩をかけて頂きます。 |
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ラコンとは6ヶ月、90kg程度の子豚の前足を塩に付け水分を抜き、その後35日間程熟成させたものです。ラコンをスズナとジャガイモ、豚肉ソーセージなどと一緒に煮込んだのが写真の料理です。大きなお皿に目一杯盛られてくる料理なので、大人数で無ければ怖くて手が出せない一品でもあります。 |
ラコンとスズナの煮込み |
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ガリシア地方は貝類の多様さ、美味しさにも定評があります。代表格はハマグリ、日本のものより大分小ぶりです。タマネギ、ニンニク、パセリ、ピーマン、サフランをオリーブオイルで炒め、キノコを加え更に炒めます。白ワイン、赤唐辛子を加え煮立たせた後、ハマグリを加え貝が開くまで蒸し煮します。ピリ辛の味に思わずワインが進んでしまう一品です。 |
ハマグリとキノコの料理 |
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ガリシア料理はアルバリーニョと呼ばれるガリシア地方特産の白ワインで頂きます。キンキンに冷えたものを白い厚手の陶器の杯で飲みます。
アルバリーニョより癖が無く、飲みやすいのがリベイロと呼ばれるガリシアの白ワインです。フルーティで軽い喉越しで、お水のようについつい飲み過ぎてしまいます。
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アルバリーニョ |
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ネットでマドリッドのガリシア料理のレストランを検索すると73件ヒットします。地方料理としては断トツの数です。地元のマドリッド料理のレストランが84件、スペイン料理として一番有名なパエリアが食べられるレストランが62件のヒットですから、ガリシア料理がどれだけ人々に愛されているかが分かるかと思います。 |
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ガリシア料理はどのレストランで食べてもハズレが殆どありませし、どの料理を食べてみてもハズレが全くありません。だから安心して色々な料理を試してみて下さいね。 |
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取材:市川由美 |
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