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パエリアにガスパッチョ、生ハム、コシード、子豚の丸焼き・・・。
気取らない普段着のスペインから、ちょっとおしゃれなスペインまで。
マドリッド在住二人の日本人女性が贈る、スペイン 食の魅力。
   
 
   
 

世界の料理からスペイン各地の郷土料理まで、マドリッドには本当に沢山のレストランがあります。この街を一歩も出ることなく、本場の味を堪能する事ができるのも首都マドリッドの魅力の一つではないでしょうか。そんな星の数程あるレストランの中で、今ちょっとした話題となっているのが最近オープンしたレストラン、バランダレス(BARANDALES)。マドリッドに初めてできたサモーラ地方料理のレストランです。

   
 

サモーラ地方はスペインの中心にあるマドリッドから西へ向けて車で3時間、ポルトガルに隣接した地域。東京都の半分の面積に20万人程の人々が住んでいます。これといった目玉の無い地方なので、沢山の魅力ある地方都市を抱える観光大国スペインの中では地味〜な存在。訪れる観光客も少なく、話題にすらなる事が少ない土地。でも本当は素晴らしいロマネスク建築の宝庫で、小粒ながらも数々の重要な文化遺産で溢れる魅力的な地方です。やっと最近になって、燻し銀的な美しさを持つサモーラ地方へ観光客を呼ぼうとするキャンペーンを見かけるようになりました。そしてそれを後押しするのが、近年メキメキと実力を発揮しているサモーラ地方を代表するトロ(TORO)産のワイン。有名な賞を受けたり、世界各国に向けて着々とワイン輸出量を上げていて、サモーラ地方の知名度アップに貢献しています。

   
 

地味〜な地方の郷土料理レストラン、そんな前知識のみで訪れたレストラン・バランダレス。高級なブランドショップが立ち並ぶハイソな一帯にあるモダンなレストランだったので少し驚きました。レストランはサモーラ地方の名産品を扱うショップも兼ねていて、ワイン、ジャム、野菜の瓶詰め、乾燥豆、お菓子などが販売されています。どの商品もマドリッドでは手に入りにくい土地の名物、見ているだけでとっても楽しい。

   
 

スペインのワインと言えばリオハが有名ですが、トロも最近ぐんぐん評判を上げています。リオハのワインに使われるブドウはテンプラニージョと呼ばれる黒ブドウ。そのブドウが夏の気温が高く、水はけの良いサラサラの砂質のトロの地で栽培されるうちに独自の個性を持つようになり、深い味わいを持ったティンタ・デ・トロと呼ばれるブドウになりました。このブドウを最低でも75パーセント使う事がトロ産ワインの条件です。強い日差しを受けた完熟度の高いブドウで作るワインは力強く、しっかりとしたボディ。濃厚で凝縮された果実実の強い、バランスのとても良いワインです。濃いワインを丸くするため比較的長めの熟成が行われるのだとか。そんなトロ産ワインの最大の特徴はアルコール度数。他の産地のワインと比べてアルコール度数が少し高いのです。その為長い航行にも耐えられたので、新世界発見の後に南米へ向かうスペインの船舶に一番好んで積まれていたのがトロ産のワインだったと言われています。

   
 

サモーラ料理を理解するにはサモーラの歴史から始めなくてはなりません。この土地に深い影響を及ぼした3つの異文化が料理にも影響しているからです。まずは中央アジアの草原から馬と馬車でヨーロッパにやって来たケルト人。彼らはサモーラ人に狩猟を教えました。ローマ人はニンニクとオリーブオイルを、イスラム世界の人々はお菓子をこの地に根付かせました。海の無い地域なので魚は川魚と保存食でもある塩鱈がメインです。

レストラン・バランダレスの名物料理の一つがアロス・ア・ラ・サモラナ。豚のソーセージ、ベーコンの他に、豚の耳、足、鼻まで入っちゃってる米料理です。オリーブオイルでニンニク、玉ねぎ、ピーマン、肉類、米を炒めてから水を足し、塩、赤唐辛子、ローズマリー、オレガノで味付けし煮込みます。こってりどっしりした料理なので、食べた後お腹にずっしりきますが本当に美味しい。このレストランを訪れたら絶対に外してはいけない料理です。

   
 

薄くスライスしたナス、ズッキーニ、パプリカを塩鱈の上に重ねオーブンで焼いた、鱈と野菜のミルフィーユ。塩鱈の味が野菜に染み込んでいます。

   
 

豚フィレ肉の間にフォアグラ風のパテをたっぷり挟んで揚げたサモーラ風カツレツ。衣のパン粉にパルメザンチーズが混ぜてあり、カリッとしたチーズの風味が最高でした。

   
 

フレッシュチーズたっぷりサラダ。甘酸っぱいドレッシングの味が最高に美味です。フレッシュチーズたっぷりサラダ。甘酸っぱいドレッシングの味が最高に美味です。

   
 

お勧めはランチタイムのメニュー。15.50ユーロは他のレストランのメニューと比べて少々お高めですが、サモーラの味をこの値段で堪能出来るのなら安いと思います。メニューは通常メニューとライトメニュー、2種類あります。ライトメニューは野菜を中心としたヘルシーなダイエットメニューなので、サモーラの味を堪能したいのなら通常メニューを。

   
 

東京に江戸っ子が少ないのと同様、マドリッドに住む多くの人々が地方からやって来た人達。故郷は遠くにありき、でも胃袋くらいは頻繁に故郷を訪れたい、そんなサモーラ地方出身の人達や、新し物好きで「唯一の」なんて言葉に弱いマドリッド人、そして価格と質のバランスの良さに大満足したリピーター達でレストラン・バランダレスはオープンしてから今まで客足が途絶える事がありません。

レストランはマドリッドのセントラルパークとも呼ばれるレティーロ公園の近くにあります。マドリッドの人々からとても愛されている素敵な公園なので、サモーラ料理を堪能した後にゆっくり散策するのも楽しいかと思います。でも暗くなってから公園に近づくのは絶対に避けましょう。昼と夜の顔が全く違います。昼間は家族連れで賑わう公園も、夜はとっても危険な場所となってしまうので充分注意しましょう。
   
 

BARANDALES
C/MENORCA,33
TEL/91 557 2152

   
 
 

取材:市川由実

   
   
 
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