■ディズニーに学ぶ集客動員戦略
ところで、ある博覧会の広報ディレクターを私が務めた際、集客・動員の戦略をディズニーランドに学んで成功を収めることができた。今から数年前のことだが、すでに「博覧会」という手法は古びてしまって時代に合わなくなっており、そう簡単に人は集まらない。これは実は全国各地のテーマパークや遊園地に共通す悩みで、もはや小手先のアイデアや少しばかり刺激的な遊具くらいではもはや飛躍的に入場者を増やすことは見込めない。なにしろ現在の日本には、他に「楽しい場所」も「楽しいこと」もたくさんある。はるばる足を運ばせるだけの理由がなければ、もう人は来ないのだ。
しかしそんな状況で、ディズニーランドだけは“ひとり勝ち”である。
なぜか? 何が違うのか?
ディズニーランドも、テーマパークであり遊園地ではないか。しかも、特に高度な遊具がある訳でもなく、むしろ古風な遊園地といった設定で、奇抜な仕掛けなどはほとんど期待できない。
ところが、ここにディズニーランドの最大の武器が潜ませてあるのだ。
ディズニーランドは、実はテーマパークでもなく遊園地でもなく「教育施設」なのだ。
たとえばレストランの建物の柱でさえ、一本一本に意匠が凝らされており、歴史や文化の由来がある。それは、何の時代の、何民族の、何文化の柱である、というように。
そしてその「学習」のための分厚いマニュアル(教本)が完備されており、学校の教師たちのためのセミナーもおこなう。
だから、ディズニーランドは「教育委員会推薦」の教育施設となり、校外学習や修学旅行にバスを連ねて団体でやってくるのである。
これがもし一般の遊園地などであったなら、そこはただの「遊ぶ場所」なのだから、生徒を引き連れて学校行事として行く訳には行かない。これが、ウォルト・ディズニーが考えた戦略である。
ディズニーランドの原型は万博にあったが、今や立場は逆転している。産業博覧会として一時期隆盛をきわめた博覧会が、産業だけでは人を呼べなくなり、その方法をディズニーランドに学んでいるのだ。 |
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■ I R戦略
ウォルトの戦略は、株主対策にも徹底されている。いわゆるIR=Investor Relationである。
ウォルト・ディズニー・カンパニーの株主になると、どこの企業でもそうであるようにウォルト・ディズニー・カンパニーからも株券が届く。写真のように、ウォルトを囲んでお馴染みのディズニー・キャラクターたちが躍動するカラフルなものだ。株券としては異色だろう。
しかしこの株券が、ディズニーの経営基盤をしっかり支える“魔法のペーパー”になるのだ。
たとえ一株株主であっても、株券には本人の名前と住所が刻印されて、CEOの署名入りで自宅へ届く。アメリカではお気に入りの株券を額に入れて飾れるようにすしてくれるサービスがあるのもうれしい。
どうです? あなたも欲しくなりませんか?
私も一株株主で、自宅の壁に絵画のように掛けてあるが、これを毎日目にすることによるアイデンティティへの影響は決して小さくない。
たった一株のために四色刷りの株券を発行するというのは、いかにも効率が悪そうだ。券面の発行だけでなく、以後半永久的にアニュアル・リポート(営業報告書)を毎年決算のたびごとに送付しなければならず、株式配当も、どんなに少額であっても送金しなければならない。
こんな手間のかかることをして、はたして報われるのか?
しかし実は、これこそがディズニー戦略の一環なのだ。ディズニー・ファンにとって「株主」になっていることがどれほどうれしいことか。しかも、株券で日々確認できるのだ。だから、この人たちはディズニーの永続的な顧客になる。「また、行こう」と思うし、映画も見よう、キャラクター・グッズも買おうと思う。つまり「永続性のあるファン」(リピーター)を確保するという訳だ。ウォルト・ディズニーという人物はただの「オタク」ではなく、企業家としても一流の「戦略家」である。 |
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■ TV番組で刷り込まれたアメリカン・ライフ・スタイル
TV番組「ディズニーランド」と同時期に、ホットドッグもハンバーガーも私たち日本人に馴染みとなった。アメリカ産のTV番組全盛期の昭和30年代である。放映開始年で主なアメリカンTV番組をみてみよう。
1956(昭和31)年 スーパーマン
1957(昭和32)年 アニーよ銃をとれ/アイ・ラブ・ルーシー/ヒッチコック劇場
1958(昭和33)年 ローン・レンジャー/パパは何でも知っている/ディズニーランド
1959(昭和34)年 ベティちゃん/珍犬ハックル/ポパイ/ローハイド
1960(昭和35)年 ミステリーゾーン/ララミー牧場/フィリックス君の冒険/サンセット77/ライフルマン
1961(昭和36)年 パパ大好き/おとぎの国/アンタッチャブル/ちびっこギャング/怪傑ゾロ/保安官ワイアット・アープ/ウッドペッカー
1962(昭和37)年 ブロンディ/ベン・ケーシー/87分署/コンバット/じゃじゃ馬億万長者
1963(昭和38)年 ギャラントメン/ルーシー・ショー/3バカ大将/ハワイアン・アイ/どらねこ大将
1964(昭和39)年 バークにまかせろ/ブラボー火星人/トムとジェリー/逃亡者/ダニー・ケイ・ショー
西部劇が何本か入っているが、大半は現代劇とアニメである。これらの影響は強烈で、同時代の日本の子どもたちは、“幸福なる”アメリカン・ライフとともに、これからの平和な生活にはコカコーラとホットドッグ、ハンバーガーが付き物なのだと刷り込まれた。
ところが“現物”はなかなか入手できなくて、それがさらに渇望感を増幅させて、ついには憧れになってしまったのは哀しい現実であった。まだマクドナルドもコンビニも影も形もなかったから、私たち子どもにはそれがとてつもないご馳走に思えたのだ。
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■ ホットドッグはファースト・フードのホームラン王
ところで、ホットドッグはなぜ「熱い犬」なのか。
フランクフルト・ソーセージの短いものを、その姿形からダックスフント・ソーセージと呼ぶのだそうで、これを熱々に焼いてパンに挟んだところから、ホットなドッグになったようだ。これだけ単純な料理だから、さほど厳格な定義がある訳ではなく、ソーセージ自体の取り扱いも焼くだけに限らず、茹でたり揚げたりして加熱したら、炒めたタマネギと共にパンに挟めば良い。あとは好みでチリソースでもマスタードでも自由である。コンビニのアメリカン・ドッグのように、串刺しのソーセージをホットケーキの衣で被って揚げたものに、マスタードとケチャップのツイン・ソースをかけるものもある。これを“邪道”という意見もあるが、ホットドッグは元来それほど厳格な料理ではない。好みの取り合わせで人の数だけバリエーションもあるのだと言ってもいいのではないか。
たとえば、ビールやコークとともにかぶりつくのは野球観戦に最適ということもあって、アメリカ各地の野球場では、それぞれに特徴を出したホットドッグが定着してご当地名物になっている。ホームチームの応援には、絶対に欠かせない! 逆転ホームランでも出た瞬間には、あちこちでコークやケチャップが飛び散っている。
さてその結果、アメリカ人は一人あたり年間約60本を消費しているという。“アメリカの国民食”とまで呼ばれるハンバーガーが約20個であることを思えば、驚異的な数だ。知らぬ間に国民にまんべんなく浸透して、中毒(リピーター)になっているのは、さながらディズニーランドのようではないか。 |
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(第10回了) |
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■ウォルト・ディズニー・カンパニーの株券。
ウォルトを囲んでディズニー・キャラクターたちが躍動する。
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★ウォルト・ディズニー
(Walt Disney、本名ウォルター・イライアス・ディズニー(Walter Elias Disney)、
1901年12月5日 - 1966年12月15日)
ウォルト・ディズニーは、アメリカ・イリノイ州シカゴに生まれた漫画家、アニメ製作者、映画監督、実業家。
世界的に有名なアニメーションキャラクター「ミッキー・マウス」の生みの親として知られる。
ウォルト・ディズニー・プロダクション(後のウォルト・ディズニー・カンパニー)を作り、アニメーション映画だけではなく、実写映画や特撮なども作成する。作風については、作品の多くが当時流行していた映画のパロディや童話、古典名作のアレンジであり、完全に新しい物語はほとんどなかった。また、TVのディズニーアワーには自ら出演し、司会を行なっていた。さらに、ディズニーランドを開設し、現在まで続く多面的な経営の基盤を作った。
第二次世界大戦後吹き荒れた、ジョセフ・マッカーシーの「赤狩り」の嵐に巻き込まれ公聴会に出頭し、「ソ連に『三匹の子ぶた』(1933年)を売ったことがある。非常に好評だった」と証言している。最終的にはシロだった。
初期の映画ではウォルト自身がミッキー・マウスの声優を演じていた。
鉄道マニアとしても知られており、彼が作った夢の国(ディズニーランド)には必ず鉄道が走っている。
彼はかつてディズニーランド開設前にこう語っていた。「いつでも掃除が行き届いていて、おいしいものが食べられる。そんな夢の世界を作りたい。」無論これは現在のディズニーランドの土台となっている大事な思想であり、現に他のテーマパークでは何の変哲も無く片付けているゴミ処理も、ディズニーランド内ではまるで掃除も1つのショーであるかの如く優雅に行われている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア』 |
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