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♯0003
★換気は浄化、
  澱みはケガレ(気枯れ)。
♯0002
★処女のもてなし
♯号外
★地震とレストラン
♯0001
★天空のレストラン
  地底のレストラン
★予告編
  レストラン風水
   
  最高の料理を出しても、必ずお客様が来るとは限りません。
逆に「なんで、こんな店が繁盛するの?」と思うことも珍しくない。
なぜ、こんな現象が起きるのか。良くも悪くも「店舗の風水」は、重要です。
とくに日本では、京都で独自の発展をしてきました。
千年の都は、同時に「レストランの都」でもあったのです。
入り口の造り方、床の間の設置、盛り塩、暖簾、客席の配置、部屋のしつらえ、などなど。
迷信もあれば、科学もある。根拠不明の慣習もあれば、驚くべき知恵もある。
   
  換気は浄化、澱みはケガレ(気枯れ)。
   
  レストラン空間はシェフの技量と無関係に劣化する?!
   
 

■臭気の発生は油汚れ
地下のレストランに入った時、かすかな異臭を感じたことがありませんか?
とくに開店早々に店に入った時に、より確率が高いようですね。
古い店ほど、その傾向は強くて、新しい店でもかすかに感じることがあります。
ただ、人間の嗅覚というのは、同じ臭気の中にいるとすぐに麻痺するもので、だからよほど強烈な異臭でない限り、ほどなく感じなくなります。
レストランで発生する臭いは、飲食を扱う店に共通の臭いです。
一種の饐えた臭い──つまり、動物性タンパク質の腐敗発酵臭。
ホテルの厨房のように、終業後徹底的に洗浄するなら、この臭いは発生しないはず。
しかし個人経営のレストランで、揚げ物や炒め物をひんぱんにおこなうような業態では、まず避けられない宿命と言ってもいいでしょう。
普通の清掃では行き届かない隙間や隅に、油汚れが蓄積して、それが腐敗発酵して臭を発します。つまり、雑菌の巣になっているというわけですね。


■気が腐る
もちろん地下のレストランに限らず、清掃の行き届いていない店舗では同じように臭気がこもります。
しかしこれは論外と言うべきでしょう。単なる怠慢は、地理風水の対象ではありません。もっと基本的かつ初歩的なレベルの対策が必要でしょう。
そういう意味では地下のレストランには同情の余地があって、窓を開け放てばそれだけで換気できるという環境にはありません。
窓がないこと、出入り口が一カ所であること。──これらは「澱み」をもたらします。
また、下水の吸引力が弱く、逆流の弊害を受けやすいこと。──これらは「腐敗」をもたらします。
つまり、完璧な管理なくしては、日常が成立しないというわけなのです。
だからこそ、地下の飲食店は永続しない、と知っておかなければなりません。
理由は「気が腐る」から。
それでも気を使って換気を万全にすれば(絶対条件です!)、地下空間の寿命である24年程度(最大で)は続くかもしれません。
ということから、現在、地下にレストランを経営しているオーナーは、現状を第一ステップととらえて、短期決戦を念頭に置きたいものですね。
そして第二ステップでは、ぜひ地上に上がるようおすすめします。

   
 

■スタートの瞬発力
しかし地下のレストランにはメリットもあります。
新築の場合に限りますが、実は一時的に栄える力があるのです。
むろんその土地がどのような場所かによりますが、大地の旺=エネルギーを受ける、というよりも包まれる状態になりますから、瞬間的にパワーがみなぎります。
客はそれに惹きつけられますし、シェフや従業員も店に来ると元がでます。
繁華街の地下レストランが、開店早々にしばしば評判になるのはそのためです。
つまり、短距離アスリートのように、スタートでの瞬発力は期待できる。しかし、決して長続きはしません。
地下空間では「万全の換を永続的に保つ」のは困難だからです。
なによりも、24時間の途切れることのない換気が必要で、また汚水や塵芥(ゴミ)を店内にとどめないのは前提条件となります。

■瞬発力でスタート・ダッシュ
だから、新規にオープンするならば、手始めに地下で開業し、その勢いをうまく取り込めば先々の発展のために良いスタート・ダッシュとなるかもしれません。
新しいビルなら、地下は7〜8年が見切り時。古いビルは基本的にお奨めしませんが、予算の関係でやむをえず店を構えなければならないのであれば、最大5年で移転すべきでしょう。
できれば、出入り口が一カ所しかない空間は避けたいところですが、地下の場合はとかくそういう構造になりがちです。
その場合は、ビルに常備されている換気装置の他に、独自に空気浄化機器を備えると改善できます。
そういった機器は、本当の浄化ではなくて、フィルターによる濾過なのですが、ある程度の効果は期待できるようです。
換気は浄化をもたらしますが、澱み(よどみ)は穢れ(ケガレ)をもたらします。
ちなみに、ケガレとは枯れ」のこと。気が枯れる、ということです。
レストラン空間の気が枯渇してしまっては、働く人のモラルも下がり、来店客も快適ではありません。
いずれにしても、レストラン空間はシェフの技量と無関係に劣化する、とも言えるので、絶え間ないメンテナンスは不可欠です。

   
  (第3回了)
  (文責 : 戸矢 学)
   
 
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